昨日は八潮に出かけた。綾瀬川放水路が中川に注ぐポイントだ。湿度が高いな、と思って撮影しているうちに、予報通り雨になった。堤防の上で降られたのは、久しぶりだった。
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小林のりおさんの新シリーズ、「Variable Scene」が始まった。80~90年代の日本の現代風景写真の旗手ともいうべき彼は、キッチンから飛び出し、ふたたび郊外のフィールドに向かいはじめたらしい! 今後が楽しみだ。ここにその新作における最初の一言を引用しておく。
「今や風景はどこにもなくて、切り替わってゆく場面だけがあるかのようだ」
小林さんのメッセージは理解できるつもりだ。かつての意味における風景は、もはやどこにもない。その重さをひとまず受け取っておきたい。
しかし、人間に風景[写真]を組成させる原因としてのフィールド(スペースでもラウムでもエスパスでも何でもかまわないんだけど)は消え去ることはない。
ということは答えは単純だ。われわれはもういちど風景[写真]を組成し直さなければならないということであって、そのためには、とにもかくにもフィールドに身を置かねばならないということ。
デジタル、ウェブ、視覚論。そういった面から写真を考えることにはもう飽きてしまった。「新しさ」すら、もういらないと思っている。今やるべきは、フィールドに出て場面を切り出してみることだけなのだ。
それが風景[写真]なのかどうかは、実はどうでもいいことだと思っている。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
