そのものの映像をそのもの自体に映すこと

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小西俊也 ribbon, dress and waltz
2007年12月12日(水)~12月25日(火)
10:00~19:30
渋谷東急Bunkamuraギャラリー+

8月の展示と全く同じ場所、ほぼ同じ原理でネタを変えた小西のインスタレーション。前回は自分自身が付箋紙をひたすら貼り付ける映像だったのだが、今回はクリスマスバージョンということらしく3人の女の子がリボンをひたすら貼り付ける映像になっていた。なかなか華やかな趣向で、狙いどおりの効果が出ているのだろうと思う。

小西の作品は基本的にわかりにくい。それは映像の基本フォーマットみたいなものを意図してはずしているからだ。スクリーンというものは基本的にニュートラルな性質を持っていて、何でも写すことのできる汎用性が機能の中心である。その白紙であるべきスクリーンの基本をとっぱらうとどうなるか。別に何の表面にでも映像を映すことができるわけだが、とりわけ映像のモチーフとなったもの自体をスクリーンとして用いると、少しばかり変わったことが起きるのだ。それは言わば合わせ鏡が時間軸上に現れたような効果である。

スクリーンは主客の区別をすればモチーフとなったものと同じ客体側に属する。しかし暗黙の了解としてモチーフとスクリーンはそれぞれ違う平面とすることになっている。それをあえてぴったり重ねてしまうことによって、リアルタイムの現象としての影と映像化された現象としての影が入り乱れてしまうのである。映像化された過去の影は特に周辺視野で捉えられたときに、リアルタイムのそれと全く区別がつかない。映像を横切って来たはずの人が、自分の前で消えてしまうような錯覚に陥ることすらある。

なかなか言葉では言い表せない不思議な体験をすることができる。明後日までやっているので、ぜひ行って見て、考えてみてください。

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