壁面は何のためにあるのか

昨日のトークの続き。というかついでに書いておきたいこと。

ギャラリーの壁と、ウェブのスクリーン。その違いに自覚的であること。

ウェブのスクリーンは、狭い。その中でどんなにレイアウトに凝ってみたところで窮屈だ。しかしウェブのスクリーンは「深さ」を持っている。時間軸だ。つまりウェブで見せる写真は、時間軸上にレイアウトされるのがよいはずだ。

どんなに狭くとも、ギャラリーの壁はウェブのスクリーンに比べれば果てしない広さを持っている。ギャラリーでしか写真を見せたことのない作家は、その広さを自覚することがない。その広さを自明のものとして無造作にプリントを横一列に並べるのもまあ悪くないが、それではテーマが単線的になってしまう。昔かたぎの、一本気な写真展なら、それでもいいだろう。でもわれわれの複線的、あるいは錯綜した状態にある意識から産み出される展示のテーマは、そんな単線の配列にすんなり収まるものだろうか。写真を縦横方向に自由にレイアウトしてみること。ギャラリーの白い壁は、零度の空間を形成する面であるだけでなく、写真と協調する面でもある。

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