どうもあたしの脳って時期や季節によって働く部位が違うらしい。同時に3冊も4冊も並行して本を読んだりする時期があったかと思うと突然、3か月近く何も読まなくなったりする。音楽も同じ。な~んにも聞かない時期が半年続いたかと思うと、急にバッハのミサ曲ロ短調とかヨハネ受難曲とかそういう普通iPodに入ってないような曲をiPodでフルヴォリュームで鳴らしながら電車に乗ったり。で、今はこれ。スコーピオンズ。って言っても今の若いひとたちゃあ知らんはず。なあにドイツ製のヘビメタの元祖よぉ、と無理に一口で表現してみる。そういってもおそらく間違ってはいないはずだ。ハードロックとヘビメタの違いって何、っていう古典的な論争命題もあるんだけど、それはまたいずれ。
高校の頃、ハードロックバンド、をやってた。という話を人にすると必ず「で、楽器は何やってたんですか?」「うん、最初はギターね。そいで後輩でうまいヤツが入ってきてさ、ギターはそいつにゆずってヴォーカルに転向」「ああなるほどそれっぽいよね~」という論旨展開の会話になる。本当に、判で押したようにいつもそういう展開になる。とっても予定調和で、ほとんど英会話のロールプレイングレッスンみたい。
それでだ、そのバンドのドラムのヤツ(今は質屋の社長やってるミツトシくん)がスコーピオンズ好きだったわけ。あたしは当時は「いまひとつ」だった。何か「あったまわるそう」に見えたんだな。見りゃわかるよね(笑)。こういうスタイルの音楽に知性はご法度である。それじゃあツェッペリンに知性あるかしら?ないよね。じゃあなんだ、スコーピオンズとレッド・ツェッペリン、いったい何が違いだ? あ、今わかったひねりだヒネリ。「ヒネリなさそう」に見えたんだな。見りゃわかるよね(笑)。
で、その後、あたしもいろいろヒネリまくって生きてみてざっと25年。ヒネリはもういいか、という境地に達したらしい。ヒネってないで直球投げりゃいいんだよ直球、とか学生に言って怪訝な顔されるような歳になっちまった。たしかに、心の底から、ヒネリはもういいんだ、という内なる声が浮かび上がってきた。計算とかカッコつけとか戦略とか、そういったものはもう窓から投げ捨てたくなってしまった。
そんな時にスコーピオンズと再開したのだ。このバンド、70年代からやってるそれこそ歴史的存在なんだけど、あたしら中学高校の頃の時期の日本盤タイトルのネーミングがすごいわけ。「恐怖の蠍団」「電撃の蠍団」「復讐の蠍団」「狂熱の蠍団」「暴虐の蠍団」と来て「蠍団爆発!」ですよ(笑)。自分ではそういう趣味じゃないはず、と思ってたんだけどなあ。バカにしてたけど、やっぱしどっかでこういうノリ好きだったんだなあ。当時カッコつけてて今になって何だか損したような気分がする。
ここまで書いて特にオチのないことに気がつきました。今年の夏は蠍団で決まりね、というお話でした。