仙台出張。
今や使っている人も見かけない往年の名器、第二世代iPod。ランダム再生にして、ガラガラのMaxやまびこの2階席から久々に晴れた外界を眺めていると、不思議な気分になってきた。
このiPod、10GBモデルで2000曲弱の「自分の好きな曲」が入っている。あと数百曲は入るはずなんだけど、そうなったらそうなったでまた面倒なので、まだ満タンにはしてない。で、これをランダム再生にするととにかく自分の好きな曲だけがかかるラジオ、みたいになる。時間つぶしにはもってこいなんだけど、時間がないときにはそういう再生はやってられない。何しろ思わぬ自動選曲の組み合わせにびっくりしたりうなったり、アルバム中の埋もれた名曲を発見してしまったりと、意識が音楽を聴くことをメインの仕事にしてしまうので、普通に何か聴くよりかえってBGMにならないのだ。ランダム再生ってドイツ語でZufaellige Titel(あたしのiPodはカッコつけでドイツ語メニューにしてあんのよ。他にもやってるやつ絶対いると思う)っていうんだわな。名詞形のZufallって事故などのアクシデントとか出会い頭でびっくり、みたいなニュアンスだと思うので、実に当たってるなあと感心するのだ。アップルの独訳担当者はいいセンスしてる、ってまあそんなことはどうでもいい。
自分が音楽聴き出した10代前半によく聴いた曲から、最近聴いた曲まで全く平等にランダムで再生されると、何十年分の感覚がだんだんごったまぜになっていく感じがする。ほら、よく死にかけて戻ってきた人の体験談に、自分の生まれて以来の記憶をほんの一瞬の間にすべて追体験するっていうのあるじゃないですか。あれのサウンドバージョンがあったらこんな感じだよねきっと。本当は数秒の間に2000曲いっぺんにまとめて再生しなきゃいけないんだけど、臨死状態に置かれていないぐーたら脳ではそんなもん処理できないので、1曲ずつバラして再生しているだけのことなんだ、と。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
