
正直なところ、今まで斜張橋ってあんまりぐっと来なかったのだが、意外や工事中は結構な迫力で、なかなか主張があるではないか。いっそ完成してもこのまま足場残しておいてくれればいいのに、とか思う。
たぶん設計する側としては、「すらっ」と立っている感じ、無理せず余裕ぶっこいて立っているクールな感じ、そういったあたりを表現されたいのだと思う。もちろんそれはそれでわからないでもない。
でも、見る側は勝手なもので、「がんばってやっと立っている」感を応援してしまいがちだ。作っている最中の足場がまとわりついている様子は、とてもがんばっている感、があるので、そっちの方が見応えがあるように思えてしまう。完成品より足場付きの方に愛着が持てそうな自分、をカミングアウトだ。申し訳ないが、本当にそう思えるのだ。
作る側と見る側のこのギャップが、なかなか深いんだ。
この位置から見ると、既設の是政橋のワイヤーが、マンガで登場人物がびっくりしたコマのいわゆる「ズーム表現」のように見えてくる。あるいは「錯視」の例。2本の平行線が、クロスする斜線群によって平行に見えなくなるあれ。ちょっと違うか。
仏像の頭に付いている「後光」の表現にも見えるな。そういや斜張橋って、塑造な感じも何だか巨大仏と似ている。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
