
袋川水門
ちっちゃい水門もかわいいけど、やっぱりこういうゴツゴツな体育会系なのもステキ。正面から見ただけではわからないこの胸板の厚み。ああもうどうにでもして、という感じがする、って一体どういう感じだ。
開閉機器室に吸い込まれていくような螺旋階段の処理など、あり得ないほどに絶妙ではないか。しかも開閉機器室はよく見りゃ四方全面ガラス! ってことは中に柱が立ってるのか。でなけりゃコンクリの屋根を支えきれないだろう。うーむ、どういう構造なんだ。中に入ってみたい。いやもうこれは分譲してほしいぐらいだ。場所を考えたら500万円もしないだろう。
以前から、渡良瀬川の水門はイケメンが多いことが気になっている。この袋川水門をはじめとして、1径間で螺旋階段つきのかっちょいい水門がいくつもあるのだ。マイベスト水門の出流川水門や尾名川水門も国交省渡良瀬川河川事務所である。どれも同じ設計思想を感じるので、同じ設計者(あるいは設計チーム)が設計したものと思われる。このモダニズムの極み、機能主義の権化、もうたまらない。見れば見るほどドキドキする。
袋川水門の唯一の欠点は、言うまでもなくこのゴキブリカラーだ。この色は萎える。もっともこれで真っ赤とか真っ青だったらこっちが悶え死にするので、ゴキブリカラーにしてもらって助かったと言えなくもない。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
