何日か前、2週間の缶詰仕事が終わった日の夜、夢を見た。椿をマリネにして食する、というものだった。
オリーブオイルとビネガーに漬かった椿の花びらは、苦いけれど食えないというほどでもない。おしべの塊の部分などは甘みすら感じられ、エノキダケのような食感もあってむしろ好ましい印象だった。本当のところはどうなのかわからないので、誰か試してみませんか?
ごくまれにだが、絶対に食えないものをむりやり食わされては吐き気を催す夢を見る。噛んで、噛み切って飲み込もうとするが、のどの奥から戻ってくる。中でももっともいやなものは、ポリプロピレンのような軟質プラスチックを食わされる、という夢だ。有機物(つまりは動植物の死骸なのだけど)は、多少の好き嫌いはあっても飲み込めるものである。蛇や蛙の類もなるべくなら食いたくはないが、調理次第では飲み込める自信はある。しかしケミカルなものはいけない。プラスチックやビニールの類は絶対に飲み込むことはできない。生体が分解できない物は飲み込むことはできないのだ。
頭で考えて選ぶのでなく、生体の持つ根源的な選択性というものがある。そのレベルで反感を持たされるような、苦しい仕事をさせられた今年の入試だった。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
