植物図鑑なんて。

81cc3fb7.jpg←ヘビは嫌いだがマムシグサは素敵に気になる存在だ。

植物図鑑、って言っても中平卓馬の話じゃなくて。ほんとの文字通りの植物図鑑の話。

小学館の「学習図鑑シリーズ」ってのが、前から断続的に気になっている。子供の頃、何冊か買ってもらって穴の開くほど見続けたのに、いつの間にか親が親戚の子にあげてしまって、今は実家にも手元にもない、というよくあるパターン。先日、時間潰しで入った古書市でシリーズ第1巻「植物の図鑑」を買ってしまった。500円プラス消費税。とてもきれいな状態でほとんどデッドストックと呼んでもいいぐらい。眺めていると写真や図版はまだ濃厚に記憶に残っていて、自分の余計な知識の基礎体力はやはりこのシリーズで作られていたことを再確認した。「海そう標本の作りかた」とか、標本をテープで台紙に貼るときの「よいはりかた」「わるいはりかた」とか、そういう知識。こりゃすごい。もっと見てみたい。できれば全28巻、当時見なかったものまでこの際ぜんぶ見たい。

まず全巻リストを、と思ってググっても出てこない。国会図書館の蔵書検索とネット上の断片的な情報を総合して、簡易全巻リストを作ってみた。まるで夏休みスペシャル企画、みたいだな。

【小学館の学習図鑑シリーズ 1956-1972】
01 植物の図鑑 / 本田正次[他]
02 昆虫の図鑑 / 古川晴男[他]
03 魚貝の図鑑 / 末広恭雄[他]
04 鳥類の図鑑 / 高島春雄[他]
05 日本歴史の図鑑 / 児玉幸多[他]
06 気象天文の図鑑 / 荒川秀俊[他]
07 日本地理の図鑑 / 木内信蔵[他]
08 保健と人体の図鑑 / 阿部三亥[他] (初版時タイトル違い: 保健の図鑑 / 阿部三亥[他])
09 交通の図鑑 / 山中忠雄[他]
10 地球の図鑑 / 鹿沼茂三郎[他]
11 動物の図鑑 / 古賀忠道[他]
12 理科の図鑑 / 入来重盛[他]
13 社会科の図鑑 / 谷口五男[他]
14 美術の図鑑 / 富永惣一
15 家庭科の図鑑 / 沼畑金四郎[他]
16 航空機の図鑑 / 木村秀政[他](初版時内容違い:通信報道の図鑑 / 丹羽保次郎[他])
17 採集と標本の図鑑 / 本田正次[他]
18 理科実験の図鑑 / 白井俊明[他]
19 体育とスポーツの図鑑 / 阿部三亥[他]
20 世界地理の図鑑 / 浅香幸雄[他]
21 岩石と鉱物の図鑑 / 須藤俊男[他]
22 世界歴史の図鑑 / 吉岡力[他]
23 理科観察の図鑑 / 本田正次[他]
24 機械の図鑑 / 崎川範行[他]
35 花と園芸の図鑑 / 浅山英一[他]
26 音楽の図鑑 / 浜野政雄[他]
27 植物の観察図鑑 / 亘理俊次[他]
28 昆虫の生態図鑑 / 矢島稔[他]

【小学館の新学習図鑑シリーズ 1973-1980?】
ほとんど改訂、改版と表紙デザイン変更だが、以下の2冊のみ内容ごと入れ変わっている。
15 船の図鑑 / 野間恒[他]
24 発明発見の図鑑 / 佐伯誠一[他]

さてさて、「新」学習図鑑シリーズも含めると20年以上にわたって売られていた息の長い図鑑なので、この時期に子供時代を過ごした人はみんな読んだ(見た)ことがあるよね。そう、あの背表紙が黒と赤とオレンジのやつですよ。ぶっとい明朝体で黒々と「○○の図鑑」と縦書きしてあるやつ。子供向けなのにまったく子供に媚びてないデザインが今さらながら気に入った。「学習」が「遊び」と厳格に切り離されていた、古きよき時代のブックデザインだ。

古本屋でもだいたい3桁円で買えるような、古本業界では駄本の類だと思うが、ひょっとして途中で消えた「通信報道の図鑑」なんかは稀覯本化しているのではないかと思う。版の違いで何冊も持ってるコレクターさんもきっといるに違いない。何万円も出して全部揃いで買うつもりはないけど、状態のいいやつを見つけた時に買って、記憶のフラッシュバックを誘起して楽しんだりするのも一興だろう。「機械の図鑑」「世界地理の図鑑」みたいな賞味期限の短そうなやつとの再会が楽しみだ。

コメント

  1. TX650 より:

    > 航空機の図鑑 / 木村秀政[他]
    とは何とゴーカな執筆者!他の巻も同様に一流の学者や教育者が執筆してるんでしょうね。
    「交通の図鑑」は私も確かに愛読してまして、それでこんなニンゲンになっちゃったのかもしれません。幼児体験恐るべし。

  2. jsato より:

    でしょ!
    とりわけ「交通の図鑑」は悪の教典ですね。

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