長山靖生著・ちくま文庫。『コレクターシップ』という本が加筆され文庫化されて、このタイトルに化けている。つまりこの本はもともとおたく論ではなく、コレクター論が語られているものだ。よくあるおたくの生態の話などではなく、広義のおたく的生き方が成立するための共通基盤とも言うべき、コレクター精神について論じられているのだ。全編にわたり何か所も「そうだそうだ、その通り!」と思わずひざを打ちたくなる主張が現れる。特に共感した部分を引用しておくと、
「我々が惹かれるものが、既成の分類では一見関係のないいくつかの分野に散らばっているとしたら、それはひとつのチャンスであるといえるだろう。それは、とりもなおさず、我々のなかに既成の価値観とは異なる独自の体系の萌芽が潜んでいる証左にほかならないからである。もし既成の価値観から見て、それらが非統一的であるなら、自分の嗜好の統一性を説明する理論を創り出せばいい」
いいこと言うなあ。心から共感してしまった。何でみんな既存のカテゴリーに沿って生きているんだろう。人が違えば、時代が違えばカテゴリーだって変わるんだ。他人の決めたカテゴリーに従うことなんかないんだよ。ってことだよね。そうそう、古今のコレクターの巨人たちのエピソードも面白い。あの昭南博物館館長、徳川義親侯爵も出てくるぞ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
