プリント中。
自分のプリンタでは24インチ(610ミリ)幅しか出せないので、B0判のテストは3枚に分割して出力している。やっぱりめんどくさい。それにしても「610ミリ」が、いつから「610ミリしか」になってしまったんだ? この感覚って何かに似ているな、と思ったらあれだ、バイクだわ。
最初は原付50ccで十分楽しかったのに、そのうち飽き足らなくなり125だの250に乗るようになる。そして次は400だの750だのになって、ふと気がつくとハーレーだあBMWだあと、4輪のクルマより排気量の多いモンスターなやつに乗りたくなっちゃう。バイク乗りの飽くなきステップアップ衝動。あたしは中型免許で止まったので、そんな無駄にパワフルな二輪車にまたがることもなく、無事に人生におけるそういう時期を通り過ぎてしまったらしい。だからいいようなもんだけど、とにかくほんと男ってバカだよねえ。
だいたい写真なんてA4ぐらい(昔で言ったら六切ぐらい)で見りゃいいんであって、何で自分の身長もあるような巨大プリントこさえなくちゃいけないんだ? もともと大きいもの撮ってんだから、きゅーっと縮めて縮小率も大きい方が写真にする意味があるではないか。それをわざわざ現実の大きさの方に近づけようと大きな画面を画策するその理由を考えてみると、どうもよくわからない。
これっておそらく、絵画コンプレックスだな。まあ美大で暮らしている以上は仕方ないとは思う。でも写真が真っ正面から絵画に対抗しようとすると、限りなく看板になっていっちゃうというというのは情けなくも悲しい。これまた動物的衝動が生むバカな展開の一種か。もともと正面突破は避ける性格なんだけどな。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
