高橋明洋「img」に「Another Rethina」シリーズが帰ってきた!!!
しかも今度は横縦比が16:9の、いわゆるハイビジョン比率。
ここでふと、気がつくこと。
ウェブに限らず、電子系のスクリーンは、徐々に横方向へ広がっている。初期のテレビ用のブラウン管は、オシロスコープのような正方形だったような気がする(円断面のブラウン管から、最大の投影面積を確保しようと思ったら正方形になるのは必然)。それが時を下るとともに、段階的に横へと伸びていった。そして今、ブラウン管が退場して液晶やプラズマが標準デバイスとなった段階で、縦横の比率はデバイス側の技術的な都合というより、むしろソフトの側で定義されるようになったということなのだ。
なぜ横長なのか。
人間の目が横に二つ、並んでいるからである。
広がりを感じさせるための手っ取り早いフォーメーション。視覚のステレオ化。
電子スクリーンにおける映像は、この方向にしか進むことができないでいるようだ。そこにどのような意図をたたきつけるのか。それが表現上の問題となるだろう。単なる広がりを再現的に見せていくのではない、別の何か。水平性とどのように格闘することができるか。
電子スクリーンと、それに対置される空間としての壁面・・・では壁面では今、何ができるのか。
単純に反対の、縦長、が刺激的なんじゃないか。
縦長は目の配置に抗い、高さ方向の幻惑を作り出すことができる。それは再現的というよりは表現的、人工的、構成的な表現を呼ぶ。電子スクリーンでは出せない、高さ。
電子は横長へ向かい、壁面は縦長へ向かう。