
(2011年10月撮影)のんほいパーク(豊橋市総合動植物公園)のラッコ、ヤヨイ。
何でまた、もう15年も前の写真を引っ張り出してるのかといいますと、撮りっぱなしで公開してなかった昔のラッコ写真を少しずつ発掘してお見せする、というお節介な企画をやってるからです。
かつて日本の水族館にいっぱいいたラッコの姿に興味のある方は、お付き合いください。ただし発掘写真につきクオリティはあまり高くないので、ものすごいバズり系ショットなど期待しないでね。
…と書いている途中で気がついた。ここ、のんほいパークは水族館じゃないですね。動物園です。日本の動物園でラッコが飼育されていたのは、ここと長崎バイオパークの2例だけです。構造的に激レアです。

ヤヨイさん、2011年当時は17歳だったんだ。こんな紹介ポスターが貼ってありました。フォントのセレクトに時代が刻印されてる。
この日、午前中に南知多でコツメを撮影してから移動し、午後遅くなってから豊橋に入りました。当時のんほいにはカワウソがいなかったのに、一体わたしは何をしに行ったんだ?
もしラッコを見に行ったのであれば、もう少し粘って撮ってるはずなんだけど、実は20分ぐらいぐらいしかラッコの前にいなかった。15年前の自分の行動の意味が理解できない。
いずれにせよ、これって今にして思えばむちゃくちゃ大反省なポイント。ここは滞在時間のすべてをラッコに投入すべきだったんじゃねえの、って。

さて、ヤヨイさんは1994年3月1日、マリンピア松島水族館生まれ。
マリンピア松島はわたしのファーストアクアリウムです。当時、そのあたりをちゃんと調べて行ってたら、もっとこの個体に興味を持って撮らせてもらったはずで…さらに深〜く反省モードへ潜航。

目から口元にかけてピント甘い感じで惜しいのですが、ガラス表面に水が乗ってる部分にかかっちゃったからですかね。
ヤヨイの母はアイで、マリンピア松島が1984年にラッコ飼育を始めた時にアラスカから来ていただいたラッコさんたちの中の1頭。ヤヨイは三津シーから移動してきたムサシ(ビッグファーザーとして有名なウィリーの息子)とアイの間に生まれております。
こういうラッコの来歴というか血統情報というか、今の時代は根拠を挙げながら語らないと信用ないぞとか言われそうなので、マリンピア松島水族館が閉館に向けて2014年に開催した大回顧展示の際に、公開掲示されていたパネルを出しときます。

松島のこの展示(おもいで博覧会)は下のリンクからどうぞ。ヤヨイの母、アイのころんころんな剥製も出てきます(ん?剥製ちゃん今はどこにいるんだろ?)


ぜんぜん枚数を撮ってないのですが、この泳ぎ方をしているコマが多かったです。のけぞって目を水中に入れた状態で泳いでます。

当時のわたしの撮影ノートには「ラッコは曇り止め塗布でかなりクリア」って書いてあります。わざわざそう書いてあるってことは、かなり見え方に配慮した展示だったものと思われます。
今となってはもう超絶的に貴重なラッコ探訪記録である、munyさんの「ラッコ便り」 No.72によりますと、2009年の12月にヤヨイさんが貝で叩きまくったせいでガラスが割れてしまったのだそうです。やるなあヤヨイ!
ということは、この時は新しいガラスに入れ替えて1年ちょいだったので、視界がまずまずクリアだったということもあるのかも。ありがとうヤヨイさん!(謝辞の向け先がちょっと違うような)

手をふーふー。

フィーディングでもなんでもない時間帯だったこともあり、お顔の正面ショットはまるっきり撮れてません。申し訳ないです。

何でもっと粘らなかったんだ!>自分
で、この日はもう山もオチもない撮影になっちゃったため、めでたくお蔵入り、となっていたわけですね。ノイズが多いとか、フリッカーで色がどうとか、その辺りの事情も前回の記事と同様。そこは今の技術で克服。
そんなわけで当時捨てたコマが、2026年の今になってめちゃくちゃプレシャスな写真になってしまってびっくりだ。

最後にこっち来てくれました。
この手はわたしの手ではないようなので、おそらく他にもお客さんがいたんですね。誰もいないところで一人で撮ってた記憶があるんだけど、そんな記憶ってぜんぜんあてにならないですね。
えーっと、この写真はぐっと明るさを上げてあるので、観覧側はかなり暗かったです(←ラッコ展示は大体そうだと思うが)。とにかく20分しかいなかったんだからそれ以外、何も覚えてないです。
この展示場所は現存しているそうです。今はゴマフアザラシが暮らしているらしい。極地動物館という建物です。2014年にヤヨイさんが亡くなり、翌々年にコツメカワウソを飼育することになるのですが、ここはコツメを入れるには広すぎた、ということなのでしょう。
次の発掘先、まだ決めてませんがお楽しみに! ↓ラッコ記事の一覧です↓


佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
