変化率50%の不快

1998/08/23 Miyagi

二十歳過ぎまで過ごした土地に何日か滞在するのはたいへんに久しぶりのことで、何だかちょっとした浦島太郎的な気分に陥って落ち着かない。昔、山だった所を造成して住宅地ができていたりするような派手目の変化は、瞬間的なショックさえやりすごしてしまえば意外と簡単に気分の片がついてしまうのだが、変化率50%、つまり変わっていないものと変わったものが半々、という状況は大変に気味が悪い。そんな町並みの中を歩いていると、悪い夢の中にでもいるような気すらしてくる。歯の根がどこか合わなくて、おまけに背中がぞくぞくするような感じがする。このはぐらかしの感覚に対する抗議は、誰にもどこにもぶつけようがない。仕方ないからこの地方に住んでいたときに行ったことがなかった別の町へわざわざ出かけて、感覚のバランスを取り戻すようなことをしている。いったい、変化とは何なのか。かつて自分の部屋であった、そして10年以上手を触れていないかつての自分の所有物(本の背表紙の多くは陽に焼けて彩度が落ちている)に囲まれて考えている。

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