Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

10年間放っておいた本棚と対峙する、というのは古井戸を覗き込むようなちょっと恐ろしい行為だ。見てのとおり大した本が詰まっているわけではない(笑ってください)。しかしやはり10年以上もそこにどっかりと居座っていたものを捨てる、という作業はどうにも後ろめたい感じがする。ぼくは雑誌と言えども捨てるのを躊躇してしまう。そんなこと言ってたら東京の住まいは数年前に容量の限界に達してしまい、最近では定期的に泣く泣く捨てざるを得なくなってしまった。しかしそれでも全然、捨てるという行為に慣れることができない。かつて、文字通り本に埋まって死んでしまった老編集者の部屋、というのも見せてもらったことがあって、これは自分もやばいなあと考え込んでしまったのだが。要するに、紙の上に印刷された情報を抹殺することに罪悪感がある、ということなのだろうが、それが一体なぜなのか、ちっとも理由がわからない。


