みさきカワウソ・よってらっしゃーい

大阪府泉南郡岬町、って言われても困ると思いますが、要するに大阪の南端、もうほとんど和歌山って場所にあるみさき公園のコツメカワウソ、ナツです。

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アクリルに鼻を押し付けて、おいでおいでをするようなこの愛想の良さ。さすがは海遊館の出身だ!とうっかり感心するところでした。別にわたしを招いているわけでもなんでもなくて、みなさまのご推察の通り、お食事時間の前なのです。キーパーさんが現われるのを今か今かと待っているところ。

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さて、みさき公園は遊園地に併設された動物園なので、大したことはないだろうとなめてかかっていたのですが、それはとんでもない失礼な話でした。みさき公園は日本の動物園の歴史において、特筆すべき存在だったのです。開園は1957年。当時の上野動物園の古賀園長の指導の下、無柵放養式展示で設計された初の本格的な動物園なのでありました。多摩動物園より先に無柵放養式をやっていたなんて、すごいじゃないか!

個人的な話になりますが、わたしが生まれて初めて連れて行かれた動物園は仙台市八木山動物園のはずなんですが、それはまるで記憶になくて、その次が多摩動物園(そこから記憶がある)なんです。つまりわたしの動物園体験の原形が多摩なのね。で、みさき公園はその多摩の原形みたいなもんですから、原形の原形、大原形というか超原形というか、とにかくそういう、自分にとってとっても「濃い」場所だったというわけです。

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今回はもちろん、基本的にカワウソ舎にへばりついていたわけですが、彼らが昼寝中は動物園ゾーン全域を駆け巡り、記憶の奥底がスパークするような不思議な感覚を何度も味わうことになりました。初めて来たのに懐かしい、という感覚です。おそらく現在の多摩はあちこちリニューアルしてしまってて、わたしが40年以上前に初めて来たときの風景ってはっきり残っていないのに対し、みさき公園は開園当時からの施設がいまだに使われているようなところも多く、そういう関係でとても懐かしく感じたのだと思います。

というわけで、何回かにわたって、みさき公園のカワウソの姿をお届けしますね。

【追記 2010.11.19】
2枚目の写真はカワウソ舎ではありません。園内の風景ってことで。

コメント

  1. はじめまして より:

    みさき公園のことを調べるのをライフワークにしている者です。みさきのことを取り上げて下さってありがとうございます。日本動物園の正史ではやはり「多摩」です。中々取り上げて頂けないのですが、古賀上野園長、寺内天王寺園長信三、京大造園学研究室等が関わっています。動物園・水族館を総合的に生態的展示で構想しようとしたプロトタイプの感じがします。

  2. jsato@otterhaus より:

    コメントありがとうございます!
    みさき公園、行って本当にびっくりしました。開園当時のコンセプトの斬新さを考えると、もっと歴史的に評価されていいと思うのですが、やはり正史では公設の園よりも、低い位置に置かれてしまうのでしょうか。
    ご研究を発表されるようなことがありましたら、どうかお知らせください。

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