それまでは何となく気になる存在だったカワウソを、去年の後半から本気で好きになる必要が生じたこともあり、数か月間、一生懸命に愛してみました。その結果わかったこと。
このひとたちは、とんでもなく面白いです。
カワウソ文学の世界的名著『カワウソと暮らす』で、著者のギャビン・マクスウェルはこのように書いています。
成長しても遊びの習慣を持続する動物はごく限られている。通常の動物は食うこと、眠ること、子を産むこと、またはこれらの目的に関連する仕事に没頭しているものだが、カワウソはこの法則の数少ない例外に属していて、一生のうちのじつに多くの時間を、ときには相手もなしの遊びに費やしているのである。
そう、この動物は、寝ているとき以外は、ものすごい勢いで遊んでいるのだ。真剣に遊んでいる。芸を仕込んだわけでもないのに、小石でお手玉をしたり、葉っぱを頭に乗せて泳いだり、雪滑りをしたり。わたしは野生のカワウソを観察したことがないが、野生のカワウソもやはりちゃんと遊んでいるというから驚きだ。
きっと世界中のカワウソが、いまこの瞬間にも、さまざまなスタイルの遊びを繰り広げていることだろう。そう思うとなぜか、じわ~っとあたたかい気持ちになってくるのだ。だいじょうぶか自分。
あらゆる客観的認識は主観を映し出す鏡にすぎないとは思うのだけど、カワウソたちの動きを見ていると人間の行為をそのままなぞっているように見えて、吹き出してしまうことがある。
上の写真は長崎バイオパークのコツメカワウソ。ナン(左のメス)がゲモック(右のオス)に言い寄っているように見えませんか。いや、実際にそういう場面でしたこれは。ナンとウチョップという姉妹がいて、ゲモックという貫録のあるオスを手を変え品を替え誘惑しているのだけど、ゲモックくんはぜんぜんその気にならない状態が続いているのだという。あ、本人たちから直接聞いたわけではなくて、飼育員のおねえさんから聞いた話です。
動物園で直立する動物といえば、レッサーパンダが一世を風靡したけど、わたしに言わせればレッサーパンダはかわいらしい毛が生えているだけで、カワウソほどいろいろ面白い動きをするわけではない。カワウソだってしっかりと直立するし、体の自由度の高さや表情の変化の豊かさを考えると、どう考えてもこちらの方がポテンシャルは高い。あ、何のポテンシャルかはいま考え中です。
というわけなので、今年はもっともっとカワウソを見てやろう、と思ってます。だれもわたしを止めないでください。
コメント
おお、また美しいカワウソ写真。
これは水門より、愛情が深いだろうか?
それにしても、マクスウェル氏の引用文は
興味深いですね。
本年もご活躍を。
これはこれは先生!
本年もよろしくお願いいたします。
水門とカワウソは、愛情ベクトルの向きが違います。