ドボク・サミットの時に来場のみなさんにアンケートをお願いした。短時間ででっちあげた設問であり、調査としての厳密さなんかもまるで考慮されてないユルいものだが、集計してみたらいろんなことが読み取れて楽しい結果になった。とにかくご協力いただいた以上は結果をお知らせせねばならないので、まだ考察が足らないけどひとまず結果だけ公表したい。
アンケート配布数209、うち回収134(回収率:64%)
A. ドボク・サミットを聴講されようと思った理由は?(複数回答可)
![[ドボク・サミット]アンケート集計速報 17 080623a](https://kohan-studio.com/otterhaus/wp-content/uploads/imgs/2008/32a2ea28.png)
聞くだけ野暮な質問である。集まった人々はみんな単純にドボク好きであった。それだけに母集団としてはかなり偏っているわけであり、これ以降の集計結果をそのまま現代日本の世論だと勘違いすると、どこかで痛い目に遭いそうだ。くれぐれも注意しよう。
B. どれにどのぐらい興味がありますか?(複数回答可)
![[ドボク・サミット]アンケート集計速報 18 080623b](https://kohan-studio.com/otterhaus/wp-content/uploads/imgs/2008/6a989743.png)
設問の意図としては、
a.興味がある
↓
b.よく見るウェブサイトやブログがある
↓
c.写真集などを持っている
↓
d.自分でも見に行っている
↓
e.この件についてはわたしに任せて
という順にだんだんと「興味の強さ」が上がっていくようなイメージを抱いていたのだが、そういう意味をつかんで回答してくれた人と、ランダムに○を付けてくれた人がいた。集計を簡単にするために、興味の強い方のマーキングだけをカウントした。たとえば「b」と「c」の両方に○が付いていた場合、「c」だけを数えた。
結果はかなり意外で、15アイテムまんべんなくみんな好き!みたいな恐ろしいことになった。目の前に著者のいる6アイテム(工場、団地、ダム、鉄塔、ジャンクション、水門)だけ数値がぐっと高めに出るだろうと予想していたのだが、そんな余計なことに気を使ってくださるような人たちではなく、完全に裏切られた。ドボク軒並み好感度高し、である。特に地下構造物の突出が目立つ。みんなこぞって地下好き、なのか。
さて、その代表6アイテムの中での傾向の違いを見てみよう。工場と団地が水色の比率が低い。これは、この2アイテムはファンの「成熟度が高い」ということでではないか。工場、団地ファンはすでに「単に興味がある」段階を抜け出して、実際にさまざまな行為にいそしんでいるという様子がはっきりとうかがえる結果だ。
それ以外だと、廃墟の写真集所持率の高さが目立つ。廃墟はドボクか、というのは議論の余地があるが、ファン層が明らかに重なっているので選択肢に入れてみた。あらゆるドボクはいつか廃墟になる、というようなシニカルな意味を込めていたりはしないので念のため。
C. 土木構造物、あるいは土木的な建築物をひっくるめて言う適当な言葉がないので、「ドボク」と呼んでいることについてどう思いますか?
![[ドボク・サミット]アンケート集計速報 19 080623c](https://kohan-studio.com/otterhaus/wp-content/uploads/imgs/2008/65fabc21.png)
これは今回、結論を出してみたかったことのひとつ。見ての通りおおむね賛成、という人が多かったので安心。さあ今から大手を振って「ドボクだ!」と言いたいところだが、この母集団は偏っていることを忘れるわけにはいかない。新たな呼び方の提案も書いてもらったのだが、ドボクを吹き飛ばすような斬新な表現は出なかった。こうなってしまった以上、みんな自信を持ってドボクと呼ぼうじゃないか。
D. 土木と聞くと、どういうイメージを思い浮かべますか?(複数回答可)
![[ドボク・サミット]アンケート集計速報 20 080623d](https://kohan-studio.com/otterhaus/wp-content/uploads/imgs/2008/d0e40a1a.png)
カッコよくて巨大でインフラとして重要。もう他に何も言うことがない感じだが、あくまでも「信者アンケート」だからね(笑)。
「悪い景観」は、「いい意味で」と添え書きを書いてくれている人が何人かいた。「いい意味で悪い景観」というのは、やはりこれはこの集団の中だけで通じるレトリックである。この価値の逆転現象が、一般とこの集団の差異を考える際のひとつのポイントであろう。
「その他」としてよく挙げられたのは、土木作業員のイメージだった。ガテン系で男らしい、ヘルメットやニッカボッカというファッション、重機やツルハシ。日本男児はこうあるべき、とまで言い切った方もいた。これだけ作業する人の方に関心が向いているというのは面白い。ファッション系のトレンド先取りしたい人は無視できない情報だよって本当か。
最後にもう一度。回答してくださったみなさん、ありがとうございました。
このアンケートもひとつの材料にしつつ、今回のサミットで設定した問題などをまとめて報告書のようなものを作りたいと思っている。乞うご期待。
![[ドボク・サミット]アンケート集計速報 21 junichisato in the winter wetland](https://kohan-studio.com/otterhaus/wp-content/uploads/2026/04/profile_real_240px.webp)
佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

コメント
■今回の企画主催、本当にお疲れ様でした。
イベント慣れしていないこちらを当日は上手く導いてまとめて下さってありがとうございます。
それにしても、このアンケートを拝見すると見事に横の繋がりが見えてきて興味深いですが、個人的には工場を自らの足で見に訪れている方の多さが嬉しかったです。
(少なくとも、3年前に同種のアンケートでこれだけの結果は出なかったでしょうから。)
次にもし同種の機会があれば、御来場下さった皆さんに更に突っ込んだ御意見を直接伺ってみたいと思ってしまいました。
それでは、佐藤さんの報告書、今からとても楽しみにしています。
これだけのドボク好きが集結したことは、本当にすさまじいですね。ドボク好きが全人口の何%いるのかは気になるところですが。Bの「自分でも見に行っている」率が高いことも驚きです。会場に集まった方々は、もはや素人ではないのですね。このクラスの方々でクロス集計してみると、それぞれのジャンルの親和性の高さがわかるかも。でも、多くの人は全般的に反応しちゃっているんだろうなぁ。
グラフにドボくんがすり込まれるほどに掲げられているのもすてき。報告書を楽しみにしています。
石井さん、hachimさん、
「横につながる動き」に言葉を与えるのが今、面白いのかなあと。
報告書、というかドボサミブックレット、鋭意企画中です。秋の初めには書店に並ぶ、というのがいいなあ。