
ロンキエール・インクラインを訪ねたのは一昨年の夏のことで、わたしにしてはめずらしいことなんだけど、雨が降っている日だった。雨降ってるから明日にしよう、なんて日程の余裕があるはずもなく、仕方なく撮影をはじめた。
上の写真は、下部水路から水槽へ入る部分のゲート。ゲート自体は真っ黒で無愛想この上ないが、横のぐるぐる模様の信号機はとってもかわいい。回転してくれたらもっと好きになりそう。
石炭を積んだ貨物船が今まさに水槽に進入している。この後どうなるかを、例によってインチキなムービーにしてみた。
雨の中を巨大な水槽がゆっくりと斜面を上っていく。ここから見ている限り音はほとんど聞こえてこない。機械音よりも、雨がぽつぽつと降る音の方が耳につく。雨の森の中を5500トンの鉄の箱が静かに移動する、というのはなかなか厳粛な雰囲気である。
この時点ではさすがはヨーロッパ。大人のドボク、って感じだよねとか思ったわけだ。ところで大人のドボク、って何だよ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

コメント
吸い込まれそうな素晴らしいぐるぐるですね。
あと石炭山の行儀の良さにもほれぼれします。
このぐるぐるって単なるシャレなのかなあ。
よくわかんないけど、施設全体の60年代っぷりがいいですよ。