っていう名前だと思う。たぶん。
ドイツ語で「音の柱」という意味だ。でもカタカナで書くとなんか変な字面だ。
トーンゾイレ、トーンゾイレ、トーンゾイレ。
複雑な構造のメカニカルなトイレみたいだ。
キャタピラとか付いてて走りそう。

こいつは渡良瀬遊水池のどまんなかの、要所要所に立っている。選挙カーが屋根に載せているようなスピーカーが縦に10個、連ねて取り付けてある。こうすることによって、そのスピーカー全体から出る音が単に10倍になるだけでなく、縦方向の指向性は狭く、横方向の指向性は広くなるのだそうだ。つまり地面での乱反射を押さえつつ、正面の広い範囲に音を放散することができるという仕掛けだ。これ考えた人は頭いい。ドイツではナチス時代にPAシステムがとっても進化したらしいので、その時代の考案なのかもしれない。
さてこのスピーカーから何が流れるのか。そりゃ間違いなく避難指示でしょう。ダムの避難指示はサイレンズのイラストでおなじみのように、川下に放流を警告するものだ。しかし遊水池(平地にある臨時のダムみたいなもんです)の場合はちょっと違って、「今から水を入れるから逃げてくれ」というものだ。この耳で聞いたわけではないから断言できないけど、おそらくそうだと思う。
逃げ遅れたらやだな、とふと思った。このスピーカーでピーター・ゲイブリエルの初期の名曲、『洪水』なんかも鳴らしてみたい気もするが、ぜんぜんシャレにならんところが恐怖だ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

コメント
トーンゾイレのレゾンデートル
っていう駄洒落を思いついてしまいました。
すみません。お邪魔しました。
そういう、(ほぼ)同じ文字を使って別な単語を再構成することを何と呼ぶんだったか、どうにも思い出せないでいます。誰か思い出してください。
アナグラムではないでしょうか……。
それです、それ!
アナグラム!
「アナグマが文字を並べ替えている姿」を思い浮かべて、今度はしっかり記憶します。