『イタリアの夢魔』

なぜか、澁澤龍彦なのである。昔、文庫を何冊か読んだはずだが、手元にないので何を読んだのかは定かでない。『イタリアの夢魔』は、あの角川春樹のランティエ叢書から出ていて、中身は澁澤のイタリアものエッセイの集成。先日、吉祥寺の本屋でふと見かけてパラパラやっていたら、バロック庭園の話が出ているのを見つけて、つい買ってしまった。澁澤本を買うのはおそらく20年ぶりぐらいなのではないだろうか。ちょっと懐かしく、また今この歳になって読むと全く別のものを汲み出せそうで、期待が持てた。

解説によれば、澁澤が初めて海外に出かけたのが1970年、42歳のときだったという。その時にイタリアにはまり、その後亡くなるまで4回、出かけている。そしてこのイタリア初体験は、彼の後半の著作活動へ向かう転回点になっているらしい。なるほど、そんなことがあったのか。わずか1週間ではあるが、自分のイタリア体験と照らし合わせてみれば、何だか興味も湧いてくるというものである。

ここらでもう一度、幻想と驚異と逸脱と倒錯にひたるのも悪くないような気がする。まずはずっと気になっていた『高丘親王航海記』を読むことに。

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