
話題としては昨日の続きです。ドイツのサイン。
炭鉱施設の再利用の成功例として世界的に名高いのがツォルフェライン(Zollverein)だ。それはもう鳥肌が立つほどカッコいい場所だったのだが、そのインフォメーションセンターに入るところに貼ってあるサインがこれ。基本的にカッコいい系サインではある。
犬とタバコは禁止やで、というのは、通りすがりの一東洋人としてのわたしにも即座に理解できてうれしい。しかし、タバコの煙がちょっとだけ表現過剰なのは許すとして、犬の方は何か、ひっかかる。
これ、微妙に犬じゃないよなあ。
どこに違和感を覚えるのか。耳の立ち方?顔のカーブ?腹のボテ具合?背中の水平?
しっぽの角度だけは犬だと思うが、それ以外の要素はすべて馬を指向しているように見えてくる。疑い出すとどんどん馬に見えてくる。足をもうちょっと長くしたら間違いなく馬だね。ははは。
・・・
いや待て。ツォルフェラインは州のデザインセンターかなんかもあるような場所だ。そんなヘタレなサインを掲げておくほど、脇の甘いことがあるわけがない。
ひょっとして、わざと犬だか馬だかわからないようにしてあるのかもしれないぞ。脱力サインに見せかけて、実は高度な処理、だ。
もし、はっきりと犬なサインにしてしまうと、馬で入ろうとするやつが来た時に抑止できない。はっきりと馬なサインにしてしまうと、犬で入ろうとする、というか犬連れて入ろうとするやつを抑止できない。
一般にドイツ人は、こういう場合、しばしば犬禁止と馬禁止の両方のサインを出すことになり、その律義さに頭が下るというか笑えるのだが、そこは天下のツォルフェラインだ。ちゃんとしたデザインポリシーでいろいろ細かくコントロールされている。その結果、ドイツの伝統を捨て、新しい手に打って出たものらしい。
でもあいまいな動物にしておけば、牛やオオカミなんかも包括的に禁止できて便利だと思う。どうせやるなら、もっとあいまいな表現になるよう、今後の発展を期待したい。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

コメント
なかなか可愛らしいデザインですな。でも、犬は馬に見えますw
犬嶋さんが馬に見える、っていうんならやっぱり馬ですねこれは。
カワウソもやっぱり禁止ですよね?
そっかー、包括的にするとカワウソも入れないのか。