Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

●昨日は久々の全面的休日だった。何年かぶりに、特に理由もなしに革のライディング・ジャケットを着て外出してみた。跨がるオートバイもないのにライディング・ジャケット。まるで「陸(おか)サーファー」である。お笑いだ。弛緩した自律神経を締める意味も込めて、もう一度オートバイにでも乗るのがいいのかもしれない。検討してみよう●この1か月以上というもの、生業であるUNIX上での抽象的な仕事ばかりで、本来の仕事であるべきイメージ生成(あえて写真と言わないようにしているのだが、やはりどうも無理があるなと自分でも感じている)が、まったくお留守になっている。意識はイメージの処理を渇望しているのに、それを展開するメモリーの領域はない、といったような具合だ。しかもそんな折り、過去の写真の仕事に関して鋭い突っ込みをメールでいただいたりして、苦境に立っている感じがいよいよ濃厚だ●言葉、の問題。日本語、英語、ドイツ語。自分の考えをなるべく正確に他者に伝える技術は常に研いでいなければならない刃物のようなものだ。いや、それより正確に伝わるという幻想に対してわたしはどういうスタンスを取ればいいのか、それがいまひとつはっきりしないことこそが、つらい。言葉を全面的に信用すべきなのか、それとも言葉は60%未満の伝達率で成立している「まあだいたい」な伝達経路とみなして、あきらめるのがいいのか。いよいよわからない●言語の抽象性と視覚(特に色彩)の両極に、見事に二極分化してしまっているらしい今の自分の問題意識が呪わしい。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
