Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

●電子メールやらBBSやらを使うようになってかなりたつが、依然として直接会って話をするのが一番手っ取り早く、もっとも深い了解が得られるものと確信していた。しかし最近それがかなり揺らいできた。下で書いたコラボレーション [Broken Link : http://www3.justnet.ne.jp/~prism/]、一方でBBS上で4人が話し合いを進めながら、その裏で堰を切ったように各自、実験とページ構築が進んでいる。走りながら考えるというのはまさにこういうことだなと思える。よく考えてみると直接会って話をして、なんてやり方は、かなりの無駄時間を費やしている。もちろん直接会うのを完全に否定する気は毛頭ない。わたしだって会って話をしたい人は大勢いるし、話をして一発で決まる、なんてこともザラにある。だからといって、何か直接会うことを至上とするあまり、視覚的な言語(つまり文字ね)による個人間のコミュニケーションを軽く見るような傾向は、まったく賛成できない。電子メールやらBBSやらという手段は、かなり加速されてはいるがむしろ古典的な手紙の範疇なのである。その電子メールまで含めた手紙、を使って順を追って用件を伝える、ということは現代人である以上、必要不可欠な行動である。いや待てよ、ひょっとしてもっとも悪いのは電話なのではないだろうか。電話は本当に野蛮だ。電話で済ます、というやり口は直接押し掛けてゴネる、という行動と相似である。なんだ結局、電話はキライだ、という話になってしまった。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
