個展準備態勢、に入っている。来年も3月上旬だ。
「鉄骨」と「影絵」というキーワードがずっと気になっていて、セレクションもそのラインで動いている。あまりにベタベタ、わかりやすすぎて涙も出ない。いや、きっとわかりやすい方がいいのだ。過剰に意味を込める重さからは、もういいかげん解放されてしまいたい。色も、重力も、空間も、デジタルも、知覚も感覚も、イメージの表面性も、もはやそんなものは何も問題にしたくなくなっている。写真という形式を否定するでもなく、肯定するでもない。ただそのメソッドをメソッドとして使わせていただく。そしてそれは上手くあってもつまらないし、下手くそでもいけない。必要最低限、押さえるべきところだけを押さえ、あとは成り行きで流してしまう。対象があって撮影があって処理があって出力があって展示がある。その流れをなるべく淀みなく、かつ波立たない状態に維持すること。語らず、そして黙らず。力まずに、放心もしない。目的がない代わりに、あてずっぽうも許さない。
つまり普通にやった結果が普通に現れる。そのようなごくごく平坦な意識の状態を目指しているような気がする。そのようにして作られたものだけが見たいから、そのように作ってみる、ということに過ぎない。もはや時代にひっかき傷など作らずともよい、というような心持ちに遷移してしまったのだろう。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
