
のとじま水族館のコツメカワウソ、レベッカ。2017年7月の撮影。
このところ、撮影しただけで公開してなかった「お蔵入り」画像をハードディスクから掘り出している。ちょっと前に左肩を壊してしまい、重いカメラが持てなくなってたこと(ほぼ治りました)もあるのだが、梅雨時で雨の降る中、撮影に出かける根性がなくなってる、ということもある。いずれにせよ情けない。
なぜ撮った画像を公開していなかったのか。まあ要するに、その日あまりいいショットが得られなかったのでブログにアップしてなかっただけなんだけど。2017年のこの時期、わたしは鳥ばっかり撮ってて、明らかに「対カワウソモチベーション」が落ちてた。

のとじま水族館、この時は二度目。前回(2011年)に3頭もいたラッコは、ラスカ1頭だけになってしまってた。今思えば前の時もこの時も、もっと気合い入れて撮っておくべきだった。

このような気合の入っていないショットしかなくて申し訳ないのだけど、これでも今となっては貴重な1枚か。

コツメ展示へ。
お客さんがカリカリをあげられるおやつタイムが終わって、それに続くフィーディングを待つヨツバ。
実は昨日、水族館のサイトを検索してて気がついたのだが、前回(2011年)撮影させてもらった日からわずか9日後、レベッカが出産していた。「すいぞくかん日記」によると担当さんも生まれるまで気づかなかったという。その2011年に生まれた3頭は何年かの間、両親と一緒に展示されていた。
翌2012年にも1頭の出産があり、合わせて6頭の展示となっていた時期もあるようだ。
そして、2017年。展示はまた2頭に戻っていた。一番撮るべき時にわたしは来てないわけだ。やれやれ。

真剣な表情でキーパーさん待ちのヨツバ。

レベッカはまったく別方向へアピール。
ところで、あらためて2011年の自分の撮影ノートを引っ張り出し、見てみたら、
ヨツバ:ムツキ顔、腰やせ、しっぽ先丸い
レベッカ:鼻ピンク、腰太い、2007年ドイツ生まれ
ってメモってた。見るべきところをちゃんと見ているじゃないか! 15年前の自分をほめてあげたくなった。それにしても、まさか妊娠していたとはね。

レベッカのアップ。
さて、これらの画像がお蔵入りになっていた理由はもう一つあって、それは満足できる画質で撮れていなかった、というところが大きい。ほとんどの画像は感度がISO25600で撮られているのだ。この時ののとじまのコツメ展示はそれだけ暗かったってこと。2011年の時より暗かった。たぶん。
写真ガチ勢の皆さんはご承知の通り、ISO25600ってのは、2026年現在の機材であればまあ常用できる感度だ。しかし、わたしの使ってたカメラは今から10年近く前のこの時点でも、すでに型遅れ気味だった。
当時のISO25600っていうのは「んなもん撮れば撮れんだろうよ。画質だぁ?こまけえこと言ってんじゃねえ!」というヤクザな感度領域なのであった。
何が写っているかはもちろんわかるのだけど、ノイズがひたすら凄まじい。でも2026年の今となり、面倒なノイズ滅却は現像アプリ内のAI処理になって、得られる画質は飛躍的に改善された。つまり同じ画像データでも、今ならなんとか見せられるようになっている。ということで今さらだけど「蔵出し」の意義が出てきたのである。

ごはんのためなら何でもしますよ………この後のフィーディングの様子はお察しの通りなので省略。
次、食後の運動!
前回ちゃんと撮れてない、滝登り〜上部水路の、横からショットが撮れてた。よっしゃあ。

ヨツバは尻尾が太ってきた感じ。先が丸いのは変わってない。

ちょっとホラーなライティングになってしまってる。ヨツバはこの時、11歳か。貫禄が出てきた。

今回は、水槽のアクリルシリンダー部分にも潜ってくれた。

お疲れ〜!
ヨツバ、しっぽの裏が擦れ気味に見える。年齢とともにしっぽが太る個体の場合、歩くときにしっぽが上がり切らないのだ。この数年度の話だけど、こんな↓対応をしてくれていたんだなあ。

今回、気がついたのだけど、のとじま水族館は古い情報を残してくれているのでありがたかった(個体の移動や死亡に関しても、公式発表してくれるともっとありがたいのだが…)。
一般論として。多くの園館は飼育現場がせっかく書いてくれた飼育に関する情報などを、あまり長くは保持してくれない。古い自分のブログ記事をメンテナンスするたびに、そんな貴重な情報へのリンクがほとんど切れてしまっているのに遭遇する。いつもそれがとても、とても残念で。
情報を長く保持することに伴うリスクを考えてのことなのかもしれない。情報の公開状態を長く維持するのにも、責任というコストがかかる。早めに消してしまえば、何かの拍子に炎上などすることはない。


レベッカは、わたしの「もう一度撮りたいけどもう撮れないカワウソリスト」(作ってないけど、頭の中にある)にしっかりと載っている。


2026/06/04
[お知らせ] コツメカワウソの展示について現在、コツメカワウソの展示を休止しています。お客様には大変ご迷惑をおかけしますがご了承ください。



【2026.06.28 加筆】


佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。




