
野生のラッコです。撮影は2018年2月下旬。場所は根室半島。この写真、なぜに8年間も寝かせていたかと言いますと、まあいろいろと理由があるんです。
ひとつは2018年当時、北海道東部に生息する野生のラッコ(チシマラッコ Asian sea otter, Enhydra lutris lutris)は少しずつ数を増やしはじめた(回復しはじめた、と書いた方がいいのかも)頃で、まだ観察したい訪問者を受け入れる体制がほとんどできていなかったのでした。だからうっかり「ここでラッコが観察できるよ」などとネット上に情報を流すのはまずいと思って、広い公開を控えていました。また常套的に漁業者とのコンフリクトを引き起こすラッコの存在はまだまだ話題として微妙らしく、つまり地域でも「ラッコ推し」には賛否両論がある、という話を聞いていたためです。
もっとも講演会のような限定的な場ではそのあたりのデリケートさをご説明させていただいた上で、これらの写真をお見せしてきました。そしてその後、さらに生息個体数が増えて繁殖も繰り返され、ラッコがいることが地域に定着した様子もうかがえるようになり、そろそろ公開してもいいかなとか思っていたら・・・あっという間にまた何年か経ってしまいました。

ほとんどブルーバックな空を背にオオワシが飛んでます。あらためて話は2018年2月下旬。わたしは別にラッコを見に根室に行っていたわけではなくて、鳥を撮りに行っていたわけです。実は2016年からコロナ禍中の2021年頃まで、かなり気合入れて鳥撮ってました(今はお休み中)。このブログには当時の鳥類の写真はほとんど載せてません。どれどれ見てやろうという奇特な方はこちらを覗いてみてください。
この日はわたし、根室の著名なネイチャーガイド氏を半日独占して、根室半島内の鳥見スポットを回ってもらっていました(なんと贅沢な!)。

で、オオワシの飛ぶ空から振り返るとこんな風景が。実はここ、メジャーな鳥見のスポットなのです。岩の形が特徴的なので、分かる方にはすぐわかる、というような場所です。

鳥を撮ってたら沖の方に黒い影が。最初はゼニガタアザラシだと思ってました(ゼニちゃんは根室半島の海岸のあちこちにいます)。でもシルエットの形状が明らかにアザラシではありませんね。
え、まさかラッコっすか? そんな簡単に出てくるのだったか!

うれしいことにこちらへ接近して来ました。前脚を使いながら背泳ぎ・・・実にラッコ的な所作です。

かなり逆光で無理のある写真ですが、もうここまで来たら誰が何と言おうと完璧にラッコですね。素晴らしい!

そのまま入江になっている岩礁に上陸です。波のある中、よくこんな岩をよじ登れるもんですね。人間がマネすると岩に叩きつけられて間違いなく大ケガになります。

さて8年後の今になってこの写真を公開している理由の2点め。現像ソフトが高性能になったことです。暗い500ミリで得た画像を面積にして4分の1以下までトリミングしたら、かなりキツい写真になりますが、今の現像ソフトだとここまで持っていくことができました。これならまあ、なんとかギリギリで見られるかな、と。これもAIでディテールを補完してくれるから何とかなるのであって、AIすごいもんだ。

こっち見た!!! まさか野生のラッコ様から目線もらえることになるとは思いませんでした。長生きはするもんです。

つくづく面白い動物です。あと、でかい。われわれが水族館で見慣れてきたラッコはカリフォルニアラッコが多かったと思うので、チシマラッコはかなり大きく見えます。単なる個体差かも。

こんな冷凍庫の中みたいな場所で寝れるなんて素敵ですよね。しかも皮下脂肪ほとんどないんですよねラッコ。高性能毛皮と高代謝な生体システムのなせる技。

気になるみたいです。このあたりの感覚はやっぱりカワウソ亜科。昼寝をじゃましちゃ悪いので、撮影はこのへんで引き上げました。

陸の方ではコミミズクがふわふわ飛んでいます。このスポットでよく見られるそうです。それにしても昼にフクロウ科が飛んでるのはすごいなあ。
実はこの日、別の場所でラッコ2頭を目撃しています。それは漁港内だったので今回も写真の公開は控えます。漁業者との微妙な関係については今も全くなくなったわけではないでしょうから。
その後の8年ほどの間に、根室から浜中にかけてラッコが見やすいポイントが何となく決まってきたようで、ネット上にもいろいろ情報が上がるようになりました。この記事は全く速報性がなく、ラッコ観察に対してのお役立ち度はほぼゼロな情報ですが、ラッコが戻りはじめた頃の記録として上げておきます。

JR花咲線で釧路(当時は毎年、2月に1週間前後滞在してました)に戻ります。落石のあたりにいつもエゾシカの群れがいましたっけ。明日も晴れるぞ!

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