Vintage article series: jsato.org | talk 20040315 – 20041027

デジタルカメラ、カメラ付き携帯。この二つのデバイスが誕生して以降、撮影される写真(あるいは静止画像)は確実に増えている。ものすごい勢いで日常の中に浸透し続けている。これは単なる一過性の現象で、みんなすぐに飽きてしまうのだろうか。わからない。しかし自己がちゃんと存在することを常に確認し続けないと生きていけない今の若者たちのことだ。自己の姿を自分で見つめるための目、自己確認視座の外部化のための装置であるこれらデジタルデバイスを、そう簡単に手放すことができるとは思えない。鏡を知った原始人は、もはや原始人ではなくなり、鏡を手放すこともできなくなるのだ。
この状況を踏まえた上でデジタル写真を語らなければいけない。いわゆる上部構造として高いところに据えられている芸術写真と、記録や記念のために一般の人が一般に撮る写真。この二分割ではとらえきれない、何か全く別の軸が浮き出しつつあるように思えてならない。そういう大きな変化の中に身を置くことができる幸せをかみしめるべきなのだろう。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
