Vintage article series: jsato.org | talk 20040315 – 20041027

デジタルカメラ、カメラ付き携帯。この二つのデバイスが誕生して以降、撮影される写真(あるいは静止画像)は確実に増えている。ものすごい勢いで日常の中に浸透し続けている。これは単なる一過性の現象で、みんなすぐに飽きてしまうのだろうか。わからない。しかし自己がちゃんと存在することを常に確認し続けないと生きていけない今の若者たちのことだ。自己の姿を自分で見つめるための目、自己確認視座の外部化のための装置であるこれらデジタルデバイスを、そう簡単に手放すことができるとは思えない。鏡を知った原始人は、もはや原始人ではなくなり、鏡を手放すこともできなくなるのだ。
この状況を踏まえた上でデジタル写真を語らなければいけない。いわゆる上部構造として高いところに据えられている芸術写真と、記録や記念のために一般の人が一般に撮る写真。この二分割ではとらえきれない、何か全く別の軸が浮き出しつつあるように思えてならない。そういう大きな変化の中に身を置くことができる幸せをかみしめるべきなのだろう。


