Vintage article series: aperitif 20020103 – 20021205
夏のゼミ展(Web展)5日目。残すところ2日。WebでWebならではの作品を作って継続的に見せていく、という表現活動。その方法論についてもっと意識的であること。さらにはその面白さをもっと広めること。どちらも、もはやわたしの世代が中心となって行うということは考えられない。今、10代、20代の連中がこれから荒野を開拓していくのである。わたしたちの世代の今なすべき仕事は、価値の確定しきった表現旧世界の中で微小な差異の中に住みつくことでも、既存形式の中を言葉巧みに泳ぎ回って金看板を掲げることでもない。旧世界の中でまだ使える概念を荒野の方へ持ち出し、移植することが必要なのだ。移植した木々はやがて繁茂して木陰を作り、地下水を涵養し、荒野に拓かれた新たな表現の田畑を守ることになるのだろう。ゼミ展の様子を見ていると、そのための橋渡しをすることにはたしかに意味があるなあと思えてくる。伝統とか文化の継承とかいうものは、ずっと同じ価値観にしがみつくことではなく、こういう断続的な飛躍を伴ってはじめて達成されるのだ。「Air」は第30回。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
