『大東亞科學綺譚』

荒俣宏著、ちくま文庫。日本がいちばんふくらんでいた時代に活躍しつつも、忘れ去られてしまった科学者たちを掘り起こしたもの。昭南博物館の田中館秀三教授、徳川義親侯爵に一章がさかれているので読んでみたわけだ。毎度のことながら荒俣さんの博覧強記ぶりが遺憾なく発揮されている好著でありました。ほんとにこのひとはすごい。
直接内容とは関係ないのだが、「博物学」って英語だと「natural history」なのね。今まで知らなかった(うわーはずかし!)。われわれは一般に「博物館=museum」と思ってるわけじゃないですか。そうすると「natural history museum」は「博物学博物館」と訳さなきゃいけなくなるわけだよね(笑)。それは変だから自然史博物館と直訳するしかないのだろうけど、これってよくある幕末~明治期に西洋由来の概念をせっせと漢語化した際のアヤなのだろうな。おそらく「museum」はhistory museumと、natural history museumと、ついでにart museumを全部そろえてないといけないのだろう。本来その「なんでもかんでも」性を指して「博物」と言っていたものが、いろいろ学問の領域が分化していったために語を付加して領域を区別しなければいけなくなってしまっているという変な話。

さてシンガポール植物園の次は、ジャワのボゴール(ボイテンソルフ)植物園だな。いつ行けるやら。

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