「この扉の色はコンピュータで処理して塗ってるんですか」と聞かれることが多い。もちろんそういうことは全くやっていないし、やる意味もないと思っている。
デジタルで撮影してインクジェットでプリントするという新しいプロセスの中で、作者である自分がストレート写真として許容される範囲内で、あるいは作品が成立するために必要と思われるような、いくつかの処理をした結果、このような、ある種異様な、不自然とも言えるような強烈な色が現れてきたものだ。それは現実の色彩の様態と比較しても意味がない。もし「現実より鮮やかなのではないか」というような否定的な見方をするのであれば、現実の色を完全に抜いてしまうモノクロ写真とは、一体何であると考えたらよいのか。