フィルターに付いた雨滴が写ってしまう

●4か月ほどサボっていた、ピンホールで水門を撮るプロジェクトを昨日から再開した。2月の個展が終わってすぐにスタートして、6月の梅雨の最中まで続けて中断していた。さすがに雨の中、軽いピンホールカメラとはいえ8×10の暗箱を取り回すのに疲れてしまったのと、利根川を中流域から河口堰まで一応、歩いてしまったのとで気力が萎えてしまったのだ。それにしても土砂降りの中、傘をさして三脚を立て8×10の暗箱をセットアップする、というのはちょっとした気違い行為ではあった。面白いことに、目の前すべてにピントが合ってしまう(というかフォーカスという概念のない)ピンホールは、何とフィルターに付いた雨滴まで律儀に写してしまうのである。しかしそれはあまり美しい結果をもたらさないので拭き取らねばならぬ。そんなこんなで箱が濡れないように傘を差し掛け、フィルターの雨滴をハンカチで拭き取りながら自分は濡れながら撮った一枚は、必ずしも「使える」一枚になるとは限らない。こういう努力は報われないことの方が多い。それを考えるにつけ昨日は秋の晴天下、天国のような撮影であった。しかし天国的な緊張感のないシチュエーションというのは、引きぶたを閉め忘れたままフィルムホルダーを暗箱から抜いてしまう、というような笑える行為をも引き出す。

Vintage article seriesは、1997年から2004年まで、わたしの作品サイト上にあったログ的なコンテンツを、本ブログ『Das Otterhaus』に復刻的に再掲した記事群です。ブログなどCMSが普及する前の時代に手書きHTMLで日々追記されていた記事は、展覧会などのお知らせ、雑感、制作上の試行錯誤の記録などが混在しています。その多くは字数も少なく画像のサイズも小さく、今の基準からするとコンテンツとしての価値はありません。しかしこの年代にこのような記述があったという事実は残すべきであると判断し、ブログの基層としてのデータの蓄積を維持しています。[2026年5月]
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