Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

日付、というものに必要以上のこだわりを持つようになったのは、やはり1年前に河原温の作品群(東京都現代美術館/河原温・全体と部分/1998.1.24-4.5)に接してからだと思う。もちろん以前から日付、あるいは暦という尺度について人並み以上に関心があったようには思っている。しかしここで人並み以上、という比較に意味があるかどうか。人並みの興味、というのはたとえば先週の月曜。平成というローカルな時間尺度を使った場合に1が5つ並ぶから記念切符をどうぞ、みたいな現象。これは記念切符を購うかどうかは別として一般的に理解されている感覚ではあろう。何らかの面白い数字の並び、ある種の特異点。それに関心を示すのはまあ、そんなに変な話ではないのだ。ギャンブルの多くはこのシステムによって成立しているのだから。そうではない、何でもない日付が並んでいる壮観が好きだ。どこまで行っても平板な「平日」の並び。その恐ろしいまでの退屈の連鎖に取り憑かれている。いやいや。しかしそれとて1999.12.31→2000.1.1という絶対的な特異点が近づいているからこそわたしでも取り組める対象となったのであろう。その特異点まで30年以上離れた時点で、のっぺりとした何でもない日付群と取っ組み合いの格闘を行った河原に比べたら、わたしなんぞはいやになるほどの凡人である。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
