Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

正月早々、ドイツに送るポートフォリオのプリントに明け暮れている。プリントといっても暗室で印画紙を焼いているわけではなくて、コンピュータに向かってプリンタにデータを送って、予定したトーンがちゃんと出てくれるかどうかプリンタの前で柏手を打ったりしている。しかし使う神経はあまり変わりがないようだ。月曜に時間を作って撮影に出たものの、画像を処理してアップする時間がとれないでいる。レッドツェペリンを聞きながら仕事してて、ふとアナログレコードのライナーノーツを見て、その日付が1979年であることに気がついて愕然とする。1979年といったら20年前だ。20年前、1999年というのは遠い未来の、ほとんど冗談のような先の話だった。しかし今、しっかりわれわれは1999年という時刻の中に立っている。冗談が冗談でなくなっている。そうだ。冗談は続けて言っているうちに冗談でなくなることがあるんだ。だったらどんどん冗談を言って生きて行こうと思った。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
