8×10インチで密着、という型

●来年も2月に個展をすることにしました。毎回期間が短くて申し訳ないのですが、みなさんぜひ見に来てください。今度もピンホールですが、プリントは普通のバライタの印画紙です。まあ前回は古典技法やったりいろいろしましたが、何だか今の気持ちとしては手法的にはなるべくシンプルにして、しかし対峙するものはなるべく大きなものを選ぶ、というところに落ち着いています。途中ポラロイドのカラーを試したり、4×5インチにしてみたり、やり方を変えてみたんですが結局、8×10インチでモノクロ密着焼き、という簡素な手法の居心地の良さみたいなところへ戻ってしまいました。機材が重いとかなんとかいうマイナスのファクターをもってしてもこのやり方は崩せないようで、こういう形での撮影は何か自分が現実に向き合う時のひとつの「型」みたいなものだ、と感じています。で、今度は水門ばかり撮ってるわけですが、たとえば100年に一度の超大洪水のために用意された巨大な水門が、目の前に15メートル程の高さの気違いじみたギロチン扉となって吃立している、という圧倒的な現実を、ピンホールカメラの超広角はいとも簡単に飲み込んで、圧縮してしまいます。昔話でヒョウタンをもった男が何でも吸い込んでしまうようなのがあったような気がしますが、まさにあのヒョウタンのようなものです。この不思議な感覚が何とか伝わってくれるような展示を考えなければ。

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