Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231
●来年も2月に個展をすることにしました。毎回期間が短くて申し訳ないのですが、みなさんぜひ見に来てください。今度もピンホールですが、プリントは普通のバライタの印画紙です。まあ前回は古典技法やったりいろいろしましたが、何だか今の気持ちとしては手法的にはなるべくシンプルにして、しかし対峙するものはなるべく大きなものを選ぶ、というところに落ち着いています。途中ポラロイドのカラーを試したり、4×5インチにしてみたり、やり方を変えてみたんですが結局、8×10インチでモノクロ密着焼き、という簡素な手法の居心地の良さみたいなところへ戻ってしまいました。機材が重いとかなんとかいうマイナスのファクターをもってしてもこのやり方は崩せないようで、こういう形での撮影は何か自分が現実に向き合う時のひとつの「型」みたいなものだ、と感じています。で、今度は水門ばかり撮ってるわけですが、たとえば100年に一度の超大洪水のために用意された巨大な水門が、目の前に15メートル程の高さの気違いじみたギロチン扉となって吃立している、という圧倒的な現実を、ピンホールカメラの超広角はいとも簡単に飲み込んで、圧縮してしまいます。昔話でヒョウタンをもった男が何でも吸い込んでしまうようなのがあったような気がしますが、まさにあのヒョウタンのようなものです。この不思議な感覚が何とか伝わってくれるような展示を考えなければ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
