もうワンダーJAPANの次の号が出る。3か月たつのが早い。つうか早すぎる。これ何とかしてほしい。このまま年取ると、もっともっと時間の経過が早く感じるようになるのかと思うと、ちょっと絶望的だ。
時間の速度感というものが、生まれてから経験した時間の蓄積との比較によって生じるのであると仮定すると、たとえば40歳の速度感って10歳の速度感の4倍になっているはずだろう。ということは、80歳になったとしても、その時の速度感は40歳の2倍ぐらいであるということだ。なーんだ、その程度なら耐えてもいい。お願いだから、くれぐれも蓄積した時間量の2乗に比例したりしないでほしい。
ワンダーJAPAN12、6月17日発売。
さて、ワンダーJAPAN12の「水門探険」は、佐賀県の『六角川河口堰』を取り上げた。ここ。
六角川河口堰はとにかく堰柱が太く、それに合わせてか開閉機器室もでかい。ゲートも一般の河口堰にくらべると、かなり背が高くて迫力満点。今まで訪ねた中で、最も押しの強い河口堰であった。株分けみたいに1門ずつ切り離してあちこちに据えても、それぞれが十分に大水門としてやっていけるものと思うので、誰か試してみてください。
去年までうっかり気づかずにいたのだが、干満差が大きい有明海に流れ込む川のゲートは、どれも頑強である。筑後川下流域などは、なかなかの大水門が割拠する、水門連合王国になっていたのだった。知らないのはわたしだけかと思ったら誰もそのことを気に留めていないらしく、ネット上にも画像はほとんどアップされていない。佐賀県の人たちは水門なんてどうでもいいと思っているんじゃないのか。そんなんでいいのか。
幸か不幸か佐賀県はそういう事情になっていたので、知られざる大水門を1日に立て続けに何門も、ざくざく撮影するという、ほとんど夢のような撮影を3月に行うことができた。ギアナ高地にはじめてたどり着いた植物学者は、おそらくこういう気持ちだったのだろう。もちろん根こそぎ撮らずに残してきたので、また行きたい。ドボクは植物なんかと違って独り占めできないところが、大人だと思う。
で、六角川河口堰はバロック建築のように壮麗である。と書いた後で、自分はバロック建築の何たるかを知ってるのだろうかと思ってちょっと不安になった。細かい部分は怪しいかも知れないが、何というかその、方向性としてはだいたい合ってるんじゃないかと思う。何でバロックっぽいのかというと、でかいことの他に、らせん階段と扉体の補強がしつこくて、視覚的な情報量が多いことと関係がある。
とにかく素敵な河口堰なので、ご近所のみなさんはぜひ一度、見に行ってください。その前に「ワンダーJAPAN12」で見てね。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

