はぎわらさんがドキドキしてくれてるので、最後にもう一度、トンネル回りを見てみようか。
中央のトンネル。
3本並行してあるトンネルのうち、これだけ壁面のすそが絞られていない。つまり断面が馬蹄形じゃなくてU字型。なぜだろう?
そういえば導流堤も左右対称にはなっておらず、中央トンネル側の面はテーパーのかかり方がまっすぐに近いのだろうか、と思ったのだけど。これって「写真のウソ」か。この写真だけ見てると、どっちが本当なんだか、撮った本人でもわからなってくる。
どうも現場ではちゃんと見えてないようで、後に写真を見て気がつくことがいろいろと多い。それは立体が苦手、という自分の資質の問題もさることながら、相手がやたらとでかいために、肉眼では全体のかたちが把握できないのだと思う。
まあ、ざっと見て一発でかたちが掴めてたら、今ごろは建築家とか彫刻家になってたでしょって。そんな仕事してないってことは、やはり死ぬまで立体物に翻弄されてすごすことになるんだな仕方ないか。
この角度から見ると、かなりバタバタと作ったような印象がある。周囲の山腹の処理とか、面のつながりのこなれてない感じとか。
この放水路、着工が1951年で、完成が1965年なのだが、実は完成前の1958年に巨大な台風による歴史的な大洪水が起きてしまった。それが世に言う「狩野川台風」なのだが、そんな状況下ではやはりじっくり作り上げるというよりは、とにかく完成を急がなければいけないという、せっぱ詰まった工事になったのではないか。そういう切実さの痕跡が見えているのかもしれない。
放水路内にも、しっかり水位のアピールがあるね。