
ふたたび利根川河口堰
前にも書いたとおり、利根川河口堰は堰柱が11本、1列に並んでいる。実はその奥にも常陸川水門という霞ヶ浦出口の逆流防止水門があって、合わせて堰柱が20本以上も立ち並んでいるのだ。横から見るとご覧のように実にうっとうしく、素敵な景観である。実を言うとこのあたりは鹿島臨海工業地帯の目と鼻の先なので、コンビナートへご参詣の老若男女の皆様におかれましては、ぜひ一度お立ち寄りいただきたいものと思う。
どうもわたしは今まで、何事も真っ正面から撮らないと気が済まなかったのだが、近頃は適度に柔軟になったらしく、水門可動堰などの類も、特に正面観照性にこだわらずに、思いっきり斜め方向から拝見などしてもまったく差し障りなどないのではないかと思えてきた。このように心理が軟化すると、橋なども自在に撮り得るのであり、題材も広がりいいことずくめだ。
となると、以前から気になっているここ↓なども、撮りに出かけてみたいものである。

Wikipedia : Oosterscheldekering
オランダの「東スヘルデ防潮水門」だ。説明書きにはdamとかbarrierとか書いてあるが、水門と言ってしまえば水門なので水門と訳してしまう。機能から言ったらこれは文句なしに防潮水門である。
土木学会刊『ヨーロッパのインフラストラクチャー』によると、「幅45メートルのゲート63門設置(1986年完成)、当初の計画では全面締切りであったが、環境問題で常時潮を入れることに変更した」とある。日本のどこかでもちょっと前に聞いたような話だが、オランダではちゃんと計画変更してうまくやっているのである。デモクラシーの経験年数の違いということか。
この東スヘルデ防潮水門ってオランダの大土木プロジェクト「デルタ計画」の目玉の一つでとにかく偉大な存在らしく、そのためかGoogleMapでもしっかり見える。利根川河口の航空写真が見えないのにスヘルデ川の河口はよく見えるというのもなんだかね。>Google
ゲートが30ちょっとしかないと思ってはいけない。この区間の北にある島の先に、あと2区間あって、合計で63門だ。見ているだけでお腹いっぱいになりそうだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
