肝心なところをいい加減に済ませていた。
ベンヤミンが引用したモホリ=ナギの論考、同じ部分をもう一度、今度は訳者を代えて読んでみよう。
・・・しばしば新しいものは長い間、正しく利用されない。それは古いものにより阻止される。新しい機能は伝統的形式のうちに包み込まれてしまう。新しいものの創造可能性はこのような古い形式、古い道具と造形領域を通して大抵ゆっくりと明るみに出されるのであり、古いものは準備されている新しいものが現れることにより、幸福な繁栄へと追いやられる。そこで例えば未来派の(静止的)絵画は、後にそれ自体を崩壊する、運動の同時性の明確な問題、時間契機の造形を提出したのだが、しかも映画がすでに知られていたもののまだ理解されていない時代においてであった。
(バウハウス叢書8「絵画・写真・映画」モホリ=ナギ/利光功訳/中央公論美術出版)
この利光訳の方が逐語訳的なはずで、それだけに分かりにくいのだが、モホリ=ナギが言いたかったのは要するに、
「新しいもの」が現れる
↓
それによってむしろ「古いもの」の中に新しい創造可能性が現れる
という不思議な構造なのだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
