モニターの方が断然いい

毎日、研究室にこもって仕事だ。ずっと一人でやってるので基本的に暗い。さらに流出するとやばい書類ばっかりなので、シュレッダーとお友達だ。ガーガー言わせながら紙でできた麺類のような物質を日々大量に生産している。そのうちに、ああ、おれって森林資源を無駄にしまくっている悪いやつじゃん、と自省モードに入ってしまい、ますます暗い。

さて昼食にしようと思って、読みかけの本を持ちながらサンドイッチを食べようとして、ふと考えた。片手に本、もう一方の手に食べ物、という図はあまりにあさましい。何と言うか、本にも食べ物にも失礼ではないのか。読むのか食べるのかどっちかにしなさいと一応、教育された成果がしっかり罪悪感になって結実している。つまり少なくともこのジャンルに関しては、わたしは正しく育っている。

今、興味があるのは、どうして本を読みながら食べてはいけないのか、その躾の根拠を詮索することよりも、どうすればあさましくない姿で読みながら食べられるか、を検討する方だ。

答えは簡単で、パソコンで読めばいいのだ。電子化された文字情報を、机上のモニタで読みながら食べる行為は、あさましい感じはほとんどしない。モニタ上のページは押さえてなくともいいし、めくる(スクローる?)のもキーやマウスで一瞬のことだ。食べ物もちゃんと両手で扱えるし。情報や食物に対する「失礼感」はかなり減る。

その昔、卒業制作で「ペーパーレス・メディア・システム」というのを作ったのだが、80年代の終わり頃だったので、その可能性は大いにあり得るが、文字を読むのはやっぱり紙の方が断然いいよね、的評価を頂戴し、また自分でもそう思った。それから約20年、技術も人間の方もちゃんと進化を遂げていて、気がつけば「モニタの方が断然いい」場合が増えている。人によってはとっくに逆転しているだろう。

まさかこういう用途で電子本(という言い方自体が紙ベースだが)がリアルなものになるとはね。タイムマシンがあったら20年前の自分に会って、卒業制作のテーマは「食事しながら読める本」にしたらいいよ、と言ってみたい。アホかって言われるだろうな多分。

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