空気が視覚に及ぼす影響

Vintage article series: CAXAPOB 20030111 – 20030923

金曜までの卒業制作最終審査でカゼが激烈に悪化。まる二日間、寝ている。発熱により混濁した頭で、空気のことを考えている。19日にいい加減なことを書いたので、空気が視覚に及ぼす影響をもう一度、生態学的視覚論から読み直すことにした。Gibsonは放射光と包囲光を厳格に分けている。まず太陽や電球のように自ら発光する発光体の光の状態が放射である。放射光は空気があろうがなかろうが、光源の方向を向いてさえいれば知覚される。非発光体が知覚されるとき、非発光体は照明されている。この照明という状態を作り出すのに、空気が関与する。空気による散乱と地表面における散乱反射(ごく一部は鏡映反射)の無限の繰り返しによって、光はある種の定常状態に達する。この状態では光は空中のどの点にも到達し、どの点をも取り囲むことになる。これが包囲光である。包囲光がなければわれわれの視覚はスペースシャトルの船外活動における写真のようになるのだろう。つまり光がまったく回り込まず、陰が真っ暗な、あの状態である。空気のない月面では、おそらく深い穴とちょっとした窪みの区別がつけられないのではないか。今、放射光が知覚できると書いたがこれは実のところ正しくない。正しくは、「光そのものは見ることができない」のだ。こんなちょっと驚くべき言説をGibsonは提示している。また熱が出てきた。続きはまた後日。

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