例によって河出文庫の澁澤龍彦。盛期の珠玉の評論とエッセイ集、とある。まあたしかにそんな感じ。アホな感想書いても仕方がないので、ぐっと来た部分を抜き書き。
「幻想芸術とは、もともと明確な線や輪郭とともにあるものであって、幻視家の見るイメージには、どこまでも鮮明な、焼き付くように鮮明な細部が伴っていなければならないはずのものなのである。曖昧さや不正確さは、幻想と何の関係もないということを知るべきだろう」p.118
「いささか逆説めくが、過去とは新しさの宝庫だということに気がついたのである」p.188
これだけ切り抜いて来てもこれを読んでいる人には何のことやらわからんはずなんだけど、読んだ当人としても何かここで自説を主張して、というような段階にまで考えが固まっているわけでもなく、今のところは未整理状態で放り出しておくしかない。
サイモン・シャーマの2段組で700ページを超える大著「風景と記憶」がなかなか読み終らない。だらだらーっと続く独特の記述スタイルもさることながら、持ち出せない、寝床で読めないという物理的な本の大きさによるところが大きい。まあ急ぐこともない。