なぜか、澁澤龍彦なのである。昔、文庫を何冊か読んだはずだが、手元にないので何を読んだのかは定かでない。『イタリアの夢魔』は、あの角川春樹のランティエ叢書から出ていて、中身は澁澤のイタリアものエッセイの集成。先日、吉祥寺の本屋でふと見かけてパラパラやっていたら、バロック庭園の話が出ているのを見つけて、つい買ってしまった。澁澤本を買うのはおそらく20年ぶりぐらいなのではないだろうか。ちょっと懐かしく、また今この歳になって読むと全く別のものを汲み出せそうで、期待が持てた。
解説によれば、澁澤が初めて海外に出かけたのが1970年、42歳のときだったという。その時にイタリアにはまり、その後亡くなるまで4回、出かけている。そしてこのイタリア初体験は、彼の後半の著作活動へ向かう転回点になっているらしい。なるほど、そんなことがあったのか。わずか1週間ではあるが、自分のイタリア体験と照らし合わせてみれば、何だか興味も湧いてくるというものである。
ここらでもう一度、幻想と驚異と逸脱と倒錯にひたるのも悪くないような気がする。まずはずっと気になっていた『高丘親王航海記』を読むことに。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
