
多摩動物公園のユーラシアカワウソ、ダル。2026年5月下旬。公開放飼訓練の2日目、閉園時刻まぎわの撮影。

みなさんご存知のとおり、今年(2026年)の2月にソウル大公園から多摩Zに移動してきたユーラシア2頭が、慎重な慣らし期間を経て、いよいよ公開に向けて動き出しました。
5月28日(木)以降は、平日のコツメカワウソの展示時間を13時30分までに変更し、室内に収容したあと、14時からユーラシアカワウソの放飼訓練を実施します。放飼訓練はご覧いただけますが、動物の状態や飼育管理の状況により、中止したり時間を変更したりする場合がありますのでご了承ください。

実は2月下旬にとにかく様子がうかがえるかどうか、偵察に行ってみたのですが、完全に空振りでした。その時はネタが何もなかったので、ここではレポートしてませんでした。

「→」の方向にある「陸上展示場」(旧アナグマ展示場)の整備はまだ進んでないみたいなので、左の「水上放飼場」でコツメとの交代展示に向けた訓練を始めることにした、という理解で合ってますかね。
平日の午後2時くらいから練習しますよ、とのことでしたが、着いたのが2時ちょい過ぎで、ダルはすでに放飼場に出てました。しかもあの洞穴内で丸くなってます。まあこれは当分動かないな、と。
3時過ぎから念のため、バードケージ側の観察スペースで、ダルがいつ出て来てもいいように待機してました。この日、外は30℃越えですが、室内は快適です。プールには捕獲を免れたドジョウが1匹。
ところで「ダル」という名前ですが、韓国語は詳しくないけど「カワウソ」=「水獺(スダル)」というのは記憶してます。「水」=「ス」なんでしょうから、「ダル」は「獺」ってことになるのかな。だとしたら何とも直球なお名前ですよね。もっとも韓国語だと獺の字はイタチ科まで広く含むみたい。
まあ多摩にはコツメ全盛時代の偉大なる母ウソ「カワちゃん」がいたことだし、ど直球ネーミングもありかなと。そんな余計なことを考えながらボケっと1時間半ほど突っ立ってました。そういえばこの出待ち感覚、久しぶりだなあ。

バードケージ側観察スペースは4時30分で施錠となったので、洞穴前に移動です。あとは時間の問題ですね。ダルも洞穴から飛び出す体制になっています。

陸上の穴から出るのかと思ってたら、水中の穴から出てました。え?そんな出入り口あったっけ? 洞穴の構造、もうすっかり忘れているぞ。

周回水路を泳ぎ回ります。水面に散った白い花がアクセントになりました。ダルは目鼻立ちの整った、なかなかの愛されフェイスですね。

ドジョウは再び隠れたのか、水中での捕獲行動にはつながりません。基本的に水上をプカプカ泳ぎでパトロールする感じです。

ちょっとだけ見える白目もキュート。それと下顎の先端が黒いようで、いつも口がちょっと開いているように見えるところも、何とも愛嬌があります。これはかなりの人気者になりそうだな。

ダルは何度か寝室出入り口まで行っては水路に戻り、また洞穴に戻ったりしています。洞穴から寝室に逃げ帰って30秒で終わり、という残念な事態も覚悟してましたが、予想に反してかなりのサービスをしてくれました。ういやつじゃ。

もちろん、基本的には警戒されてます。別に悪いやつじゃなさそうだぞ、と思ってくれてるといいんだけどね。

奥の滝壺のあたりでこっち見てくれました。あはは、ムギュに花びらがついてますね、ご飯粒つけた子供みたい。

よっしゃ〜!実にいい感じ、力強い水上警戒ポーズもらえました。

さすがにそろそろ寝室に帰らないと、キーパーさんにおこられるぞ。

何度か入りかけたのですが、後脚や尻尾を外に出した状態で踏みとどまり、また戻ってしまう行動が見られました。環境に慣れてないカワウソが見せる慎重な動きですね。
ダルがこの放飼場に慣れる見通しは立ったようですが、問題はメスのビョルが出て来てくれるかどうかですね。今後の成り行きを見守りましょう。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
