Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

この高温多湿な季節になると毎年ラテンの血が騒ぐ。といっても聞く音楽の話であっていきなり服装や髪形や言動がラテン化するわけでない。普段は格好つけて現代音楽とか、ちょっと隔離されがちな70年代プログレとか聞いていることが多いのに、なぜかこの時期は一転してマンボやサルサ、チャチャチャになってしまう。ペレス・プラード楽団を聞きながら、いっしょに「うーーーっ、あ☆」とか叫んでしまうそのワケは昨年の夏に気が付いたのだが、一種の「刷り込み」だったのである。わたしが産まれたころにご両親様が買ったばかりの家具調ステレオで聞いていたのがたぶん「チャーリー石黒と東京パンチョス」とか(違ったかも)そのあたりで、まだ限りなく白紙だったご幼少のわたしの脳ミソにすっかりそのボンゴ~コンガによるリズム構造と吠えるホーンセクションを刻み付けてしまったらしい。ああ生涯消えない、楽しくも深ーい傷。


