Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231
●個展まで残すところ1か月切ってしまったのに緊張感がない。困ったもんだ。理由はふたつ。B3は去年のかなり早い時点で撮影を終えてしまった「ちょっと前の」プロジェクトであること。WWWによる展示に少しずつ意義を見い出すようになって、時間的空間的に制約のあるギャラリーという展示空間で展示をすることに懐疑的になっていること、だな。頭の中では次のプロジェクトが進行してしまって、感覚にタイムラグが生じることはよくあることなので放っておくとしても、展示、に関する懐疑はちょいと深刻だ。前回までの個展では、物理的な展示の終了後しばらくしてから、WWW版の展示を出した。今回は同時進行でやっている。個展開始と同日にWWW版の公開も開始する。この流れはもう止まらない。これはわざわざ東京まで(しかも6日間しかやらない!)展示を見に来てもらえない多くの人達に対する当然のサービスと考える。もちろん現物の方がいいですよ、なんてことは銀塩プリントをメインに据えている今だから言ってられることであって、今考えている方向にこのまま進んだら早晩、画像と物質は見事分離して「現物 = デジタルデータ」になるでしょうね。じゃあ、展示とはいったい何なのだ?んーっと、んーっと、いっそ展示はライブだ!!みたいなのはどうだろう。アンプラグドということで(←何の解決にもなってない)。ところで、そのNO MATERIALSというか、NO CHEMICALSのデジタルフォト実験展示場(住宅展示場ではなくて射爆場、というニュアンス)Weitergehen オープン。ヴァイタゲーエンはドイツ語でゴー オンだ(と思う)。今まで時代に背を向けていた佐藤はここへ来てようやく先に進む気になったらしい、と考えていただいて結構です(展示してあるものは依然として時代に背を向けてるけど)。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
