Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231
●これまたふと思いついて、このページを別の環境(Windows95にInternetExplorer4.0)で、見てみた。結構ショックだった。およそ意図通りになっていない。特に文字組みだけで構成されているページの崩れは深刻だ。考えてみれば、このページをMacintoshにNetscapeという、作ったのと同じ環境で見てくれている人の比率の方が、実は少ないのだ。多くの人達が、わたしが「崩れてる!」とみなす状態を見てくれていたのかと思うと、ぞっとした。そして大変に申し分けない気持ちになった。今まで文字を画像で表わすことは極力避けてきたが、今後は少し考え直すことにする。別にWindowsとInternetExplorerが悪い、というわけでもない。解像度やフォントサイズの設定を詰めていけば、双方の「見え」はかなりのところまで近似する。しかし見てくれている人にそんなチューニングまで強要するわけにもいかないだろう。第一、制作者がスタンダードとしているのはどの「見え」なのかがわからない以上、チューニングのしようがない。何を言っているのだ、そんなのはこのメディアとつきあい出した3年前からわかっていたはずだろう。しかしどんな設定で見られても、崩れが最小限にとどまるような配慮が、データの軽さよりも優先される段階に来ている、ということをなかなか認めたくない気持ちがある。この反動のような気持ち、一時的にせよデザインという分野に身を置いていた人間が宿すべき思考とはみなされにくいかもしれない。デザインじゃないところから出発してデザインを経て、デザインじゃない別のところへと到達したつもりになっている人間の、ネジリアメみたいな思考のかたち。それにしても今回の例に限らず、「外側から見る」ということはなかなかに難しいものだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
