いずれどこかの船宿がやるだろうとは思ってたんだけど。こうはっきりと「閘門体験」をうたったものは初めてなのではないか。
しかしコース設定がいかにも惜しい。Bコースでは扇橋閘門、Cコースでは荒川ロックゲートをそれぞれ通過しているんだけど、どちらもまた元のルートに引き返してしまうのだ。隅田川→小名木川→扇橋閘門→荒川ロックゲート→荒川、と一直線に抜ければよさそうなもんだけど、これがなぜかできない。途中に何かイヤなものでもあるのか。水深が超浅いとか、海賊が出るとか、無体な関所があるとか。
Cコースは、隅田水門を抜けて荒川を下り、荒川ロックゲート出たり入ったりで、先日の「東京水辺ライン」利用の水門ツアーのほとんど逆まわり版だが、新砂水門と豊洲水門を抜けるオプションが付く感じだ。これで30人集まったとするとひとり4550円。いかに公営である東京水辺ラインの料金設定が安いか、ということがわかるな。
いずれにせよ「歴史クルーズ」というまだまだ従来型の感覚からもう一歩、前へ出る勇気が必要だ。「インダストリアル指向の屋形船」というところまで、あともうちょっとだ。東京は江戸情緒だけに頼らなくても済むだけの、もの凄いユニークな近現代景観資源を持っていると思うのだ。
何だか偉そうなこと言いそうになってきたので、このへんでやめとく。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
