大日本印刷のやっている「アートスケープ」という情報サイトから取材を受けた。一般にウェブでやってるメディアはメールで取材、というお気軽なスタイルが多いのだが、ここは違った。ライターの影山さんと予定の倍近い時間、じっくりと話をさせてもらった。それでその結果が記事となって収録されている。


考えてみると、ウェブサイトを持って今年で10年になる。はじめの頃はウェブ上で個展を「オンライン&オンデマンド」で見られるということに価値を置いていた。その後、ウェブ上で写真表現を展開することの意義を過剰に意識するようになり、その対極としてのプリントやギャラリーの存在には否定的な見方をする時期が続いた。常時接続が当たり前の時代になれば、デジタル撮影によるウェブ上の写真表現の独自性について、人はもっと関心を持つようになるだろう、と思いながら活動をしていたはずだったのが、気がつけば今や常時接続は当たり前。さらにカメラといえばデジタルであることが当たり前、という時代になっていた。あれ、おれ何やってたんだろう、という感じがする。30歳を過ぎてからの10年というのは、そういう長さの感覚を持っているということなのだ。
今回インタビューを受けた影山さんは、ライターというより美術アーカイブの研究者が本業の方である。そういうちゃんとした方がわたしのサイトに関心を持ってくれた、ということは、ひとえにわたしのサイトに何らかのアーカイブの要素が発生していたから、と考えてよい(だろう)。10年やってりゃ作品もたまるわな、と思う一方で、次々とサイトを作っては壊し、そしていつしかネット上から消えていった作家たちのことも思い出したりすれば、われながらよく続け、かつ整理してきたもんだな、と感慨にふけったりしないでもない。なにしろわたしは現実空間ではかなりの整理下手なのだ。
さて、ここでわたしが突然死んだらこのウェブ上のわたしの作品群はどうなるのかな。死んだ後のことは基本的に気にしないタイプだ。別にカッコつけてるわけじゃなくて。正直なところ自分は皮を残すトラではないということは薄々わかっている。本人が気にしないならそのまま消えてくれればいいんじゃないかという気もしている。がんばって残す、っていうんじゃなくて、残っちゃう、残っちゃった、というのが理想なのかもしれない。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
