座布団に乗った780キログラム

原一史展。京橋のギャラリー山口。4月2日まで。マッチョでメカニカルな鉄の彫刻の作家、なんだけど今回のは何と和風テイスト。『八角形は幸福か?』というタイトル(あれ違ったかな?)の八角形のシェルター風の作品があった。重さは600キロだとか。眺めているうちに中に入ってフトン敷いて寝てみたい、と思った。で、そのままロケットの先に積んで宇宙へ打ち上げてくれ!みたいな暴力的なんだか安らかなんだか、よくわかんない欲望が湧いて来た。

素材の文法、を意図的に撹乱させることによって、見たことのないようなもの、を現前させてくれている。具体的に言うと、木材、すなわち大工仕事で使われる「継ぎ・割り・ホゾ」みたいな感じの技法をぜんぶ鉄でやってしまっているのである。表面は赤錆付なんだけどなめらかに仕上げてあるから、表層レベルでは正体不明である。しかしパーツのフォーメーションがいちいち和風だから、目が「これはぜったい木製だぞ」と認識してしまいそうになるのだ。だけど触れば鉄、しっかり重い。自分のツネヒゴロの視覚偏重ぶりを、ここぞとばかり笑われているようであった。

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