原一史展。京橋のギャラリー山口。4月2日まで。マッチョでメカニカルな鉄の彫刻の作家、なんだけど今回のは何と和風テイスト。『八角形は幸福か?』というタイトル(あれ違ったかな?)の八角形のシェルター風の作品があった。重さは600キロだとか。眺めているうちに中に入ってフトン敷いて寝てみたい、と思った。で、そのままロケットの先に積んで宇宙へ打ち上げてくれ!みたいな暴力的なんだか安らかなんだか、よくわかんない欲望が湧いて来た。
素材の文法、を意図的に撹乱させることによって、見たことのないようなもの、を現前させてくれている。具体的に言うと、木材、すなわち大工仕事で使われる「継ぎ・割り・ホゾ」みたいな感じの技法をぜんぶ鉄でやってしまっているのである。表面は赤錆付なんだけどなめらかに仕上げてあるから、表層レベルでは正体不明である。しかしパーツのフォーメーションがいちいち和風だから、目が「これはぜったい木製だぞ」と認識してしまいそうになるのだ。だけど触れば鉄、しっかり重い。自分のツネヒゴロの視覚偏重ぶりを、ここぞとばかり笑われているようであった。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
